紅茶に含まれる成分やその効能とは? 銘柄によって成分は異なる?

紅茶に含まれる成分やその効能とは? 銘柄によって成分は異なる?

紅茶に含まれる成分とその効能とは?

紅茶に含まれる成分として、よく知られているものに、カフェイン、タンニン、ポリフェノールなどがあげられますが、紅茶には他にも多くの成分が含まれています。
それぞれの成分について、その効能や1日に必要な摂取量、摂取量の上限など、様々な角度から研究されています。
ここでは、主な成分とその働き、紅茶に含まれる量、1日の摂取量の目安などを、研究結果に基づいて紹介しています。

ビタミンB群

ビタミンB群は、エネルギーの代謝をサポートする栄養素です。
ビタミンB群の8種類の成分のうち、5種類が紅茶に含まれていますが、いずれも微々たる量です。
その中で、含有量が多いものに、ナイアシンと葉酸があげられます。
ナイアシンは、エネルギーの代謝に関わり、酵素の働きを助ける栄養素です。
また葉酸は、正常な赤血球の生成を助けたり、胎児の発育に重要な働きをする栄養素です。
どちらも紅茶から摂取できる量は限られているため、食事で摂取するのが現実的です。

ビタミンK

ビタミンKは、血液が凝固したり、骨がカルシウムを吸収するのをサポートする栄養素です。
紅茶1杯(約150ml)あたり、約9μgのビタミンKを含むといわれています。
ビタミンKの1日の摂取目安量は150μgとされているため、紅茶よりも食事から十分なビタミンKを摂取することが望ましいです。
多量に摂取しても、健康に問題が生じるとは見られておらず、摂取量の上限は設けられていません。

ナトリウム

ナトリウムは、食塩という形で摂取されることが多い栄養素です。
栄養素の吸収や輸送、血圧の調節などに関わっています。
1日の摂取量を、7g前後に抑えることが目標とされています。
ナトリウムの摂りすぎが問題になることも多いため、紅茶に含まれる量も気になるところですが、紅茶1杯(約150ml)あたりの含有量は、約1.5mgとされています。
そのため、紅茶がナトリウムの摂りすぎの原因になることはないと言えるでしょう。

カリウム

血圧を下げたり、体内の水分を保持する作用がある栄養素です。
紅茶1杯(約150ml)には、約12mgのカリウムが含まれるといわれています。

カリウムの1日の摂取目安量は、2,000~2,500mgとされているため、食事から十分なカリウムを摂取しましょう。
健康上の理由などで、カリウムの摂りすぎに注意が必要な方も、紅茶1杯あたりに含まれるカリウムの量を参考にしてください。

マグネシウム

体内の酵素の働きを助け、生命の維持に必要な代謝に関わる栄養素です。
1日の摂取量の目安は、年齢や男女差もありますが、260~370mgとされています。
1杯の紅茶(約150ml)に含まれるマグネシウムは約1.5mgですので、これも食事で十分なマグネシウムを摂取するのが現実的です。
摂りすぎによるリスクはないとされ、摂取量の上限は設けられていません。

リン

骨や歯を構成している栄養素です。
1日の摂取目安量は、800~1,000mgとされていますが、最近は加工食品など、リンを豊富に含む食品が多いため、通常の食事でリンの摂取量が不足することはないと考えられています。
逆に、過剰摂取による健康へのリスクが指摘されていますが、紅茶1杯(約150ml)に含まれるリンは約3mgとされているため、大きな影響はないと言えるでしょう。

カフェイン

紅茶の苦みの元となる成分です。
カフェインの働きについては、多くの研究結果が発表されており、覚醒作用・利尿作用・脂肪燃焼促進作用などが、科学的に立証されています。
紅茶1杯(約150ml)には、約28~44mgのカフェインを含むとされています。
また、カフェインは摂りすぎに注意が必要で、1日の摂取量の上限には諸説ありますが、紅茶4杯程度とされています。
胎児や乳幼児には、成人よりも影響が出やすいため、妊娠中や授乳中の方は、摂取量を半分程度に控えた方がよいとされています。

タンニン

植物に元々含まれている成分で、ポリフェノールの一種です。
紅茶では、タンニンの大部分がカテキンであるため、カテキンと同じ成分として認識されることもあります。
紅茶1杯(約150ml)には、約150mgのタンニンが含まれており、紅茶の渋みを生み出しています。
数々の研究結果から、タンニンには多くの健康効果があることが、明らかにされています。
例えば、細菌やウイルスに対する殺菌・解毒作用や、アンチエイジングに効果があるといわれる抗酸化作用などがあげられます。

ポリフェノール

ポリフェノールは、植物の光合成で生成される成分で、植物の渋み・苦みや色素を構成しています。
ポリフェノールの種類は、5,000以上もあるとされています。
赤ワインやチョコレートにも含まれており、強い抗酸化作用が有名です。
紅茶の主要な成分であるタンニンやカテキンも、ポリフェノールの一種です。
このように、紅茶に含まれるポリフェノールは、総称して「紅茶ポリフェノール」と呼ばれています。

主なポリフェノールの種類とその効能とは?

紅茶ポリフェノールには、他にアントシアニンやテアフラビンなどがあります。
各所で、紅茶ポリフェノールの健康効果について研究されており、様々な研究結果が報告されています。
その中には、各種ウイルスに対する抗ウイルス活性効果(※1)や、脂肪の吸収抑制作用(※2)などがあります。
脂肪の吸収抑制作用に関しては、緑茶やウーロン茶よりも、紅茶が一番脂肪を吸収しにくいという研究結果も発表されています。

(※1・引用「紅茶エキスによるインフルエンザウイルス感染性の阻止」 http://journal.kansensho.or.jp/kansensho/backnumber/fulltext/68/824-829.pdf) (※2・引用「日本紅茶協会」https://www.tea-a.gr.jp/labo/topics/topics02.htm l)

フラボノイド

紅茶ポリフェノールを構成する成分の一つです。
ポリフェノールの中で、フラボノイドに分類されるのは、抗酸化力のある部位を持つ成分群で、強い抗酸化作用を持つとされています。
最も重要な色素成分でもあり、テアフラビンなどとともに、紅茶の色を決定づけています。
フラボノイドは更に、カテキンやアントシアニン、テアフラビンなどに分類されます。

カテキン

フラボノイドの一種です。
テアフラビンの元となる成分で、紅茶の製造過程で、カテキンが酸化重合して生成されるのがテアフラビンです。
カテキンの健康効果について、数々の研究結果が発表されています。
その中の一つに、殺菌効果があります。
日本大学薬学部の研究では、紅茶製造の際に生成されるテアフラビンが加わることで、紅茶は緑茶よりも殺菌力が増し、ウイルス感染の予防に役立つことが報告されています。
5~10倍に薄めた紅茶でうがいをすると、この効果が期待できるようです。

(引用「NIKKEI STYLE」https://style.nikkei.com/article/DGXMZO10332950W6A201C1000000/)

アントシアニン

フラボノイドの一種で、紅茶の製造中に、茶葉が酸化発酵する過程で生成される成分です。
赤紫色の色素成分で、紅茶の色を構成する成分の一つでもあります。
酸性では赤色、アルカリ性では青色を示すという性質があり、その安全性から、加工食品の着色にも使われています。
また、アントシアニンの健康効果に関する研究も進んでおり、強い抗酸化力を持つことなどが発表されています。

(参考「わかさの秘密」 https://himitsu.wakasa.jp/contents/anthocyanin/ )

テアフラビン

紅茶の製造中、カテキンが酸化重合することで生成される成分です。
テアフラビンもフラボノイドの一種で、紅茶の鮮やかな赤い色を生み出しています。
テアフラビンを豊富に含む紅茶ほど、鮮やかな濃い赤色になります。

紅茶の効能は茶葉によって変わる?

紅茶は、茶葉の種類によって風味に大きな違いがあります。
紅茶の風味は、茶葉に含まれるそれぞれの成分から生み出されますが、茶葉の種類によって風味が変わるのは、成分の含有量が異なるためです。
また、それぞれの成分には風味を生み出す作用だけでなく、様々な効能も持ち合わせています。
では、成分の含有量が異なる茶葉は、効能も変わるのでしょうか。
ここでは、12種類の紅茶の茶葉それぞれに含まれる、主要な成分の量についての研究結果を紹介します。

タンニン

紅茶の渋みの元になる成分です。
研究結果では、タンニン含有量が最少の茶葉と最多の茶葉では、含有量に2倍以上の差がありました。
(出典「12種類の紅茶の化学成分」https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/59/7/59_326/_pdf/-char/ja) 日常生活で、茶葉のタンニンの量を量る機会はそうそうありませんが、飲んだ時に渋みを強く感じる茶葉は、タンニンの含有量が多いと判断できます。
タンニンを豊富に含む茶葉は、タンニンの効用も強いと言えそうです。

グルタミン(アミノ酸の一種)

アミノ酸の一種であるグルタミンの含有量の違いは、どの程度でしょうか。
グルタミンの含有量を調べたところ、最多のものと最少のものでは、約3倍の差があるという研究結果があります。
(出典「12種類の紅茶の化学成分」https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/59/7/59_326/_pdf/-char/ja) ただ、紅茶の茶葉の成分全体に占めるグルタミンの割合が低いため、含有率に約3倍の差があるとはいえ、紅茶に含まれるグルタミンの含有量としては、大きな違いにはなりません。

カテキン

また、茶葉による含有量が大きく違った成分がカテキンです。
最多のものと最少のものでは、約8倍の違いがあることが研究でわかりました。
(出典「12種類の紅茶の化学成分」https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/59/7/59_326/_pdf/-char/ja) 紅茶の製造中、茶葉が酸化発酵する際に大部分のカテキンが酸化重合し、テアフラビンなど紅茶独特の色や風味を出す成分が生成されます。
テアフラビンの作用が大きく、鮮やかで濃い赤色をした紅茶ほど、カテキンを多く含んでいると判断できるでしょう。

まとめ

このように、紅茶には様々な成分が含まれていることがわかりました。
その中でも、カフェインやタンニンの含有量が目立って多く、様々な研究から健康に良い効果があることも明らかにされています。
また、紅茶の銘柄によっても成分の含有量が異なり、それぞれの紅茶の風味や色などの特徴にも現れています。
紅茶の特徴から、成分の含有量を推測することもできるので、成分のことも思い巡らせながら、健康的に紅茶を楽しんでください。


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