紅茶の分類で「フレーバーティー」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。 フレーバーティーは、フルーツや花、香料などで香りをつけたお茶のことです。 この記事では、代表的なフレーバーティーとその特徴をご紹介しています。 また、アールグレイやラプサンスーチョンといった、香りとは異なる名前を持つフレーバーティーについての解説もしています。 自家製のフレーバーティーを作る方法もご紹介していますので、是非いろいろなフレーバーティーを楽しんでください。
目次
- フレーバーティーとは?
- 代表的なフレーバーティーの種類や特徴とは?
- フレーバーティーは自分でも作れる?
- フレーバー以外の名前で呼ばれるフレーバーティーとその由来とは?
- まとめ
フレーバーティーとは?
紅茶の分類でよく使われる「フレーバーティー」は、フルーツや花、香料などを使って香りをつけたお茶を意味しています。 茶葉そのものの香りを楽しむお茶とは対照的です。 「フレーバーティー」というと紅茶をイメージされることが多いですが、緑茶やウーロン茶に香りをつけることもあります。 中華料理店でよくサービスされるジャスミンティーは、緑茶にジャスミンの花の香りをつけたフレーバーティーです。
紅茶に果実や花もしくは香料を加えたもの
フルーツや花の香りをまとわせた紅茶は、茶葉に華やかさを与え、人気があります。 香りの素には、果実や花を使う方法のほか、香料を使う方法もあります。 香りの種類や組み合わせ、香りのつけ方などで茶葉の印象が全く異なるため、フレーバーティーはバリエーションが豊富です。 また同じ香りでも、香りをつける茶葉の種類が違うだけで味わいがガラっと変わるのも、フレーバーティーの面白いポイントです。
代表的なフレーバーティーの種類や特徴とは?
フレーバーティーの香りとして多いものはフルーツや花ですが、他にもスパイスやハーブの香りのフレーバーティーもあります。 香りも、単独で使われたり、複数の香りを組み合わせたりとさまざまです。 また、各ブランドごとにフレーバーの傾向もあり、甘い香りが多いブランドや、スパイスの香りの種類が豊富なブランド、ブランドの発祥国を代表するフルーツや花の香りなど、ブランドのお国柄も垣間見ることができます。
アールグレイ
フレーバーティーの代表格です。 ベルガモットという柑橘系のフルーツの香りをつけた茶葉で、爽やかですっきりとした香りが特徴です。 1830年代にイギリスの首相を務めたグレイ伯爵が、ライチに似た中国の龍眼(ロンガン)という果実の香りのする紅茶の再現をイギリスの茶商に依頼した際、龍眼がヨーロッパで手に入らなかったため、ベルガモットで代用されました。 こうして誕生した茶葉に「アール(Earl・伯爵)グレイ」と名づけられたのが発端です。
ラプサンスーチョン
中国・福建省の武夷山の近くで生産される紅茶です。 紅茶の製造中、松の葉をいぶした煙で茶葉を乾燥させるため、茶葉にスモーキーな香りが移ります。 インパクトのある独特の燻製のような香りとは対照的に、味わいはまろやかで優しい風合いをしています。 ストレートで飲む以外に、他の茶葉にひとつまみ足して味に深みを加える飲み方もあります。 スモークサーモンやチーズに合わせるのがおすすめです。
フルーツを使ったフレーバーティー
フレーバーティーの代表格であるアップルやピーチのほか、ストロベリー・マンゴー・マスカットなど種類も多く、また複数のフルーツを組み合わせたフレーバーティーもあります。 旬のフルーツのフレーバーティーで、季節感を演出することもできます。 爽やかな香りですっきりとした味わいにもなるため、アイスティーに使われることも多いです。 砂糖などで甘みを加えると、フルーツの香りをより感じられる場合もあります。
花を使ったフレーバーティー
紅茶には、ローズや桜、すみれなどの花が使われることが多いです。 花びらが混じった茶葉は、カラフルで華やかになります。 鮮やかな色が目を引く、青い矢車草や黄色いマリーゴールドの花びらは、香りよりも見た目のアクセントとして、茶葉に混ざっていることもあります。 花のほか、ミント・カモミール・ラベンダーなどのハーブが混ぜられている紅茶もあり、紅茶とブレンドされている分、ハーブティーよりもコク深い風味を味わえます。
スパイスを使ったフレーバーティー
ジンジャー・シナモン・バニラなど、単独の香りのものから、カルダモン・クローブ・シナモンなど複数のスパイスを組み合わせたマサラチャイのフレーバーをつけた茶葉まで、種類も豊富です。 寒い時期に人気で、ミルクと相性が良いものも多いです。 BOPやBOPF、CTCなど細かい茶葉が使われているものであれば、ミルクで茶葉を煮込んで、インドのチャイのように楽しむこともできます。
香料を使ったフレーバーティー
フルーツや花から抽出した香料などを茶葉に吹きかけて香りをつけ、乾燥させた茶葉です。 素材そのもので香りをつけることが難しいキャラメル・チョコレート・ハニーなどのフレーバーティーだけでなく、フルーツや花のフレーバーティーの中にも香料で香りをつけられたものがあります。 また、フルーツの香料をつけた茶葉に、そのフルーツのチップを加えたタイプのフレーバーティーも一般的です。
フレーバーティーは自分でも作れる?
フレーバーティーの作り方は、大きく2種類に分けられます。 1つは、香りを吸収しやすいという茶葉の性質を利用する方法で、乾燥させたフルーツや花のチップを茶葉に混ぜたり、強い香りのものを茶葉の近くに置いておくことで、香りを付着させます。 茶葉に花びらなどが混じっていると、見た目にも華やかです。 もう1つは、フルーツなどから抽出してできた香料を、直接茶葉に吹きかける方法です。 アールグレイは、この方法で作られています。
フレーバーティーの作り方とは?
新しい香りを試したい場合など、自宅でフレーバーティーを作る時には、香りを付着させる方法がおすすめです。 香りの素になるフルーツを洗い、皮をむいてスライスします。 ザルなど風の通りがよい物に並べて日陰で1日乾燥させ、その後2~3日室内の風通しがいい所で干します。 完全に乾燥したら、細かく切って茶葉に混ぜます。 この作業が手間な場合は、市販のドライフルーツを使うこともできます。 茶葉は、クセのないキャンディやセイロンティーのブレンドを選ぶと、フルーツの香りが際立ちます。
お湯を香り付けする方法もある?
茶葉に香りを付着させる以外に、別の作り方もあります。 例えば、先に香りを付着させておいたお湯を使って茶葉を抽出する方法です。 香りの素となるフルーツの皮をお湯で煮込み、お湯にフルーツの香りをつけます。 そのお湯で、通常紅茶をいれる時と同じように茶葉を抽出させると、フルーツの香りのフレーバーティーが出来上がります。 応用として、フルーツの代わりにスパイスを煮出したお湯で紅茶をいれることもできるでしょう。
フレーバー以外の名前で呼ばれるフレーバーティーとその由来とは?
一般的にフレーバーティーの商品名は、アップルティーのようにフレーバーの香りが名称になっていたり、香りからイメージされるものが名称に使われていたりと、ブランドによりさまざまです。 一方で、ブランドを問わず同じ名称の茶葉が、同じ香りのフレーバーティーとして世界中で認識されているものも存在します。 その代表格である2種類には、どちらも「お茶発祥の国」中国と「紅茶の国」イギリスを結びつけるエピソードが語り継がれています。
ラプサンスーチョン
ラプサンスーチョンは、イギリスでは「シノワズリ」という中国への憧れを象徴する茶葉としてよく飲まれています。 中国では、生産地名と茶葉のサイズを組み合わせて「正山小種(せいざんしょうしゅ)」と呼ばれていますが、イギリス人には「ラプサンスーチョン」と聞こえたため、現在でも各国でこのように呼ばれています。 上質のものは、龍眼の香りに例えられることもあり、グレイ伯爵が再現を依頼した紅茶は、ラプサンスーチョンではないかという説もあります。
アールグレイ
グレイ伯爵が茶商に依頼して作られた、ベルガモットの香りの紅茶は「アールグレイ」という名称で発売されました。 この紅茶は人気が出たため、他の茶商も同様にベルガモットの香りをつけた紅茶を作り「アールグレイ」という名称で販売されました。 当時はまだ、商標権という概念がなかったために生じた出来事です。 これ以降、ベルガモットの香りの茶葉は「アールグレイ」という名称で、世界中で親しまれています。
まとめ
このようにフレーバーティーには、香りの種類、ベースの茶葉、香りのつけ方などさまざまな種類のものがあります。 選択の幅が広く、季節によって惹かれる香りが変わるなど、飽きずに楽しめるのも魅力です。 また、同じ香りでもブランドごとに味わいが違ったり、ブランドが誕生した国によって香りづけの特徴が見られるのも面白いポイントです。 いろいろな視点からフレーバーティーを楽しんでください。