紅茶を楽しんでいるときに、味や香り以外に成分が気になることはありませんか?
紅茶にはカテキンという成分が含まれています。カテキンの名前は知っているけれど何かメリットがあるかよく知らないという方も少なくありません。
緑茶にも含まれるカテキンは、健康を維持する働きがあるのではといわれており、紅茶や緑茶を愛飲する方からも期待されている成分です。
この記事では、カテキンの働きやカテキンを多く含む食品、その健康効果をより高めると考えられる食品などを紹介します。
目次
- 紅茶に含まれているカテキンとは?
- 紅茶に含まれるカテキンは変化している?
- 紅茶以外にカテキンを多く含む食品とは?
- カテキンと相性のいい食品とは?
- まとめ
紅茶に含まれているカテキンとは?
カテキンとはポリフェノールの一種です。イソフラボンやサポニン、タンニンという成分名はよく耳にする機会があるかもしれません。これらもポリフェノールです。 人体を維持するための必須栄養素ではありませんが、摂取することで健康維持の効果があると考えられており、手頃な飲み物であるお茶に含まれていることから、カテキンは最近より注目されています。 紅茶や緑茶といった身近な飲み物に含まれているカテキンが注目される理由を、その成分の由来から解説します。
カテキンとは紅茶に含まれるポリフェノールの一種
紅茶を飲むと、やや渋みや苦味を感じるのではないでしょうか。 お茶に含まれる渋みや苦味の元になっているのがカテキンです。 ポリフェノールの一種であることを前述していますが、カテキンとは、植物に含有されているポリフェノールの一種で、いくつかに分類されているポリフェノール類のうちフラボノイド系に属します。 さらに、カテキンの中には4つの種類があり、以下の分類になります。 エピカテキン エピガロカテキン エピカテキンガレート エピガロカテキンガレート
カテキンの主な健康効果とは?
カテキンには健康維持をする効果、健康状態を良い方向に傾ける効果などがあると考えられています。 紅茶や緑茶に含まれているカテキンを好ましいと感じ、健康飲料の意識で愛用する方がいるのも、それが理由のひとつです。 カテキンが効果を発揮するといわれている健康に対する効能には、どのようなものがあるでしょうか。 代表的な作用として注目されている4つを紹介します。
抗菌作用
カテキンに期待されているのが、抗菌作用です。 暮らしの中で起きやすい、菌による身近な被害に食中毒があります。 カテキンは、食中毒予防効果を発揮するとされているのです。 食中毒は2通りの発症メカニズムがあります。 2通りとも食品に付着した有害物質由来により、『毒素型』『感染型』に分類されますが、カテキンはどちらにも抗菌作用があるといわれます。 付着した物質が毒素でありそれを摂取して発症する『毒素型食中毒』に対して、カテキンは毒素の解毒と排出効果を発揮します。 食物に付着した細菌が消化器官、腸に入り込んで付着する『感染型食中毒』のケースでは、カテキンは付着した細菌の細胞壁を破壊する殺菌作用があります。 どちらのタイプでも、食中毒に対する殺菌効果が高いと考えられています。
抗ウイルス作用
冬場などウイルス性疾患が流行するシーズンには、その予防に緑茶や紅茶を飲むと良いといわれています。 細菌だけではなく、カテキンには抗ウイルス作用があると考えられていることが理由です。 冬に流行する代表的な呼吸器疾患のウイルスは、細菌のように単体で増殖する力がなく、突起(スパイク)を持ち、それを使って特定の細胞にとりつき、その細胞内で増殖します。 ウイルスごとにスパイクのタイプが違うため、ワクチンなどで抗体を作りますが、型がバラバラでウイルスタイプが不明な場合には、予防が難しいという問題があります。 カテキンは、スパイクのタイプに関わらず細胞に取りつく機能を失わせる効果が期待されています。紅茶を飲むと予防効果があるといわれているのは、こうしたカテキンの力が理由です。
体脂肪低減作用
高濃度カテキンの長期摂取をした場合、体脂肪低減作用が表れたという研究結果があります。 このデータでの体脂肪は、腹部全脂肪面積と内臓脂肪面積とされています。 カテキンの働きだけではなく、肝臓の細胞にある、脂肪を燃焼させる酵素と高濃度カテキンが、良い働きに向けて結びつくと考えられています。 この酵素をカテキンが増やしたり活性化させたりすることによって、エネルギー消費量を増やし、結果的に体脂肪を増やしたとされるデータが発表されました。
コレステロール値低下作用
血管由来の生活習慣病、脳や循環器に大きなダメージを受ける病気が増えています。 近年は食生活にも大きな変化が起きて、コレステロールの中でも悪玉に分類されるLDLコレステロールが増えすぎることも、原因のひとつといえます。 カテキンの効能は、コレステロール低下作用もあることが分かっています。 血中コレステロール値が少し高めの検査結果が出ている人が、しばらくカテキンを摂取したことによって、コレステロール値が改善し、正常値に戻ったという例もあります。
紅茶に含まれるカテキンは変化している?
カテキンには前述したような効能があり、健康維持や回復に効果があると考えられています。 紅茶をより多く飲み、その効果を確認したいところですが、紅茶に含まれているカテキンは、その成分が変化しています。 緑茶のように未発酵で製造されるお茶類とは違い、紅茶は製造工程でその茶葉を完全に発酵させてしまうため、紅茶に含まれるカテキンは酸化してしまうのです。 そのため紅茶に含まれるカテキンは『テアフラビン』『テアルビジン』という成分に変化しています。 これが紅茶に含まれるポリフェノールの正式な成分です。
テアフラビンとは?
紅茶の製造工程でカテキンが酸化することにより、テアフラビンという、抗菌性の強い色素が出来ます。 このテアフラビンは強力な殺菌効果を持つことがわかっています。 実験により、インフルエンザウイルスの感染力が、99.99%無力化されたというデータが出たと報告されています。 また、『抗酸化作用』が強いと考えられているため、『老化防止作用』も期待されているのが、テアフラビンです。
テアルビジンとは?
紅茶の色は赤みがかっていますが、テアルビジンは、この赤みの元になる成分です。 殺菌効果と抗酸化作用が研究で明らかになっているテアフラビンのように、成分としての効能がはっきりしていませんがカテキンの酸化により生成されたポリフェノールとして、殺菌力などに期待したいところです。
紅茶以外にカテキンを多く含む食品とは?
紅茶の製造工程では、その成分名が変わってしまうカテキンですが、他にもカテキンが多く含まれている食品があります。 飲料や食品など、身近にある飲食物で、カテキンを多く含むものにはどういうものがあるでしょうか。 紅茶以外にカテキンを多く含む食品を紹介します。
抹茶・ココアなどの飲料
抹茶やココアにも、カテキンが含まれています。 冬の風邪予防に、ココアを飲むのが良いといわれるのも、ポリフェノールを含んでいることが理由です。 また、抹茶は収穫前に遮光をするという栽培方法や、粉の茶を湯に溶かして飲むという方法で、濃い状態の茶葉を体内に取り入れるため、含まれるカテキンも紅茶や緑茶より多いとされています。
ブドウや大豆といった食品
ブドウやワインにポリフェノールが含まれていることは、よく知られています。 大豆に含まれる抗酸化成分では、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEと並んで、ポリフェノールが注目されています。 大豆にカテキン(ポリフェノール)が含まれていることは、意外に知られていない部分もあり、カテキンの効果に期待する方は、紅茶以外に大豆を食生活に取り入れるのも良いでしょう。
カテキンと相性のいい食品とは?
カテキンが含まれた食品を、相性が良い食品と組み合わせて、より効果が上がる取り入れ方をしたいものですね。 カテキンの効果を妨げない、むしろ相乗効果につながる食品を紹介します。レモンやショウガなど抗菌作用のある食品
抗菌作用がある食品として、レモンやショウガを選ぶと良いでしょう。 レモンは、シトラールという精油成分を含んでいます。 ショウガは、ジンゲロンやショウガオールといった優れた殺菌力を持つ成分を含んでおり、風邪やインフルエンザ予防に効果的と考えられている食品です。 レモンやショウガは独特の酸味や風味も、食欲増進につながり、抗菌作用と一緒に良い効果が期待できそうですね。
はちみつなど抗ウイルス作用のある食品
はちみつはビタミンやミネラルを多く含みます。 また、はちみつに含まれる酵素には、消化能力を高め、抗菌作用や抗ウイルス作用があるといわれています。 風邪やインフルエンザの流行シーズン前には、このような食品を積極的に摂取して予防しましょう。
まとめ
昔から身近にあり、気軽に飲まれてきた紅茶には、植物に含まれるポリフェノールである、カテキンが多く含まれています。 カテキンは、紅茶以外に、緑茶や抹茶、ココアという親しみやすい飲み物や、食卓に上がりやすい食品にも多く含まれ、摂取しやすい成分です。 抗ウイルス作用、抗菌作用、抗酸化作用などが期待されるカテキンを、紅茶などの飲み物や普段の食事から、上手に取り入れてみませんか?