紅茶に含まれる成分が、体に良い効果があるということを耳にした方も多いでしょう。
ここでは紅茶の主要な成分の「カフェイン」に着目し、その効果と適切な摂取量をご紹介しています。また、摂取量の目安だけでなく、カフェインの覚醒作用を増強・緩和する成分についても詳しく解説します。
適切な摂取量を知り、上手にカフェインと付き合って紅茶を楽しんでください。
目次
- 紅茶に含まれるカフェインの効果とは?
- 紅茶に含まれるカフェインの量とは?
- 紅茶に含まれるカフェインの覚醒効果を増強もしくは緩和するには?
- まとめ
紅茶に含まれるカフェインの効果とは?
カフェインを含む飲食物として、コーヒー、チョコレート、コーラや栄養ドリンクなどが知られていますが、紅茶にもカフェインが含まれています。
カフェインは、紅茶の苦みを生み出す成分で、紅茶の風味に影響を与えると同時に、私たちの体にも様々な効果をもたらしています。
脂肪燃焼効果
カフェインが中枢神経を刺激して血流が良くなることで、エネルギーの消費量や代謝が上がり、同時に脂肪の燃焼も促進されるという研究結果が数多く発表されています。
特に運動前にカフェインを摂取すると、運動中は糖質よりも先に脂肪が燃焼されるようです。 脂肪燃焼効果を期待するには、運動の30分~1時間前に摂取するのがおすすめです。
疲労感軽減効果
カフェインは、脳に疲れを感じさせる「アデノシン」という神経伝達物質の働きを妨げるため、脳は疲労を感じにくくなります。
また、アデノシンの作用が妨げられると、ドーパミンやアドレナリンが増加して心身が興奮状態になり、疲労感を感じにくくなります。
これらの作用から、カフェインには疲労感軽減効果があるとされています。
覚醒作用
一般的に広く知られているカフェインの作用ではないでしょうか。
私たちの体は通常、眠気の素であるアデノシンが、脳のアデノシン受容体と結合することで眠気を感じます。 しかしカフェインを摂取すると、カフェインがアデノシン受容体と結合するため、アデノシンがアデノシン受容体と結合できず、眠気を感じられなくなります。
この現象が、カフェインの覚醒作用として知られています。
抗酸化作用
紅茶の抗酸化作用といえば、カテキンがよく知られていますが、カテキンとカフェインを混ぜると、相乗効果で抗酸化性が高くなるという研究結果も発表されています。
(参考:日本食品工業学会誌https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk1962/10/9/10_9_365/_pdf) また、コーヒーに含まれるカフェインは、元々はコーヒー豆を守る抗酸化物質であるともいわれています。
これらから、カフェインにも抗酸化作用があるといえるでしょう。
利尿作用
カフェインには利尿作用もあります。
カフェインが交感神経を刺激すると、腎臓の血液濾過量が増え、それに伴い尿の量も増加し、体内の水分や老廃物も尿として排出されます。
また、代謝が促進される作用と相まって発汗も促され、体内の水分が排出されるといわれています。
むくみを軽減する効果も期待できる?
カフェインの利尿作用の効果として、むくみを軽減することも期待できます。
ただ、カフェインを摂り過ぎると、むくみが悪化する場合もあります。
尿と一緒に排出されるカリウムが、体内の塩分も同時に排出するため、体内では塩分が蓄積されやすくなり、結果として、むくみにつながる恐れがあるのです。
頭痛を軽減する効果
カフェインには、脳の血管を収縮させる作用があります。
そのため、脳の血管が過度に拡張されて起こる片頭痛には、カフェインの作用で脳の血流が適度に調整され、痛みに有効とされています。 逆に、血管が過度に収縮して起こる緊張性頭痛の場合、カフェインの血管収縮作用でさらに血管が収縮するため、痛みが悪化する懸念があります。
紅茶に含まれるカフェインの量とは?
カフェインには体に有効とされる作用が多くありますが、摂り過ぎるとめまい・動悸・下痢・手足の震えなど、体に不調をきたす恐れもあります。
適切なカフェインの摂取量を知って健康的に紅茶を楽しむために、紅茶に含まれるカフェインの量や、カフェインを含まない紅茶についてご紹介します。
紅茶に含まれるカフェインは1杯あたり28~44mg
紅茶1杯(150ml)には、28~44mgのカフェインが含まれています。
コーヒーとよく比較されますが、抽出前の豆と茶葉の比較では、紅茶の方がカフェイン量が多いです。
しかし、コーヒー1杯分(150ml)に必要な豆の量は、紅茶1杯分の茶葉の約3倍で、コーヒー1杯あたりのカフェイン量は、60~180mgとされています。
カフェインをほとんど含まない紅茶もある?
カフェインの摂取を避けたい方向けに、カフェイン含有量が0.1%以下のカフェインレスや、カフェインを取り除いたデカフェの紅茶もあります。
茶葉の種類やカフェインの除去方法から、お好みのものを選ぶとよいでしょう。
通常の紅茶と同様に紅茶の風味を味わえるので、カフェインの摂取を控えたい時におすすめです。
紅茶に含まれるカフェインの1日の摂取量の目安とは?
1日あたりの適切なカフェインの摂取量はどのくらいなのでしょうか。
カフェインの効き目は、体質や年齢などで個人差があるため一概にはいえませんが、世界保健機関(WHO)や各国が推奨している1日の摂取目安量をご紹介します。
また、紅茶以外の食品からもカフェインを摂取することを考慮するのがよさそうです。
健康な大人であれば1日400mgが目安
米国保健福祉省(DHHS)と農務省(USDA)は、健康な大人は、1日のカフェイン摂取量が400mg(紅茶9~14杯分)までであれば、リスクの心配はないとしています。
ただし、1回で摂取するのは200mgまでが望ましいとされていること、そして摂取後4~8時間はカフェインの作用が続くことを知っておくとよいでしょう。
妊娠中の女性は1日300mgが目安
カフェインの血管収縮作用で胎盤の血流が悪くなり、胎児に栄養や酸素が充分届かず、流産や新生児の低体重リスクの原因になりうると考えられています。
また、胎児や乳幼児はカフェインの代謝機能が未熟です。 そのためWHOや米国疾病予防管理センター(CDC)では、妊娠中や授乳中の方は1日のカフェイン摂取量を300mg(紅茶6~10杯分)以内に抑えることを推奨しています。
子どもは体重あたり3mgが目安
子どもへのカフェインの影響は、長期的な研究がまだ少ないのが実情です。
欧州食品安全機関(EFSA)は、18歳以下の子どもは、1日体重1Kgあたり3mgのカフェイン量であれば悪影響はないとの推測を発表しています。
子どもの場合は特に、チョコレートやコーラなど、紅茶以外の食品からもカフェインを摂取することがあるのも念頭に置いておくとよいでしょう。
紅茶に含まれるカフェインの覚醒効果を増強もしくは緩和するには?
仕事中や勉強中の眠気対策として、紅茶を飲んでカフェインの覚醒効果を利用することもあれば、夜に飲んだ紅茶の覚醒作用で寝付けずに悩まされることもあるでしょう。
飲む場面や時間帯に応じて、カフェインの覚醒効果の効力を調整できれば理想的です。
そのような時に役立つ成分をご紹介します。
アルギニンはカフェインの覚醒効果を増強する
鶏肉や大豆に多く含まれるアミノ酸の一つ「アルギニン」は、カフェインと一緒に摂取すると、カフェインの覚醒作用を増強させることが発見されました。
(参考:藤沢市薬剤師会https://www.fujiyaku.org/ygk/?p=178)
覚醒効果が高まれば、集中力や作業効率の向上のほか、覚醒効果が長時間続くといった効果も期待できます。
一方、摂取する時間帯によっては、夜の睡眠に影響を及ぼす恐れも考えられます。
テアニンはカフェインの覚醒効果を緩和する
紅茶を飲んでホッとするのは、紅茶に含まれるテアニンのリラックス効果によるとされています。
このテアニンのリラックス作用が、カフェインを摂取した時に起こる中枢神経の興奮作用を緩和することが確認されました。
カフェインの覚醒作用を感じやすい方は、テアニンを摂取すると、カフェインの睡眠への影響を軽減することが期待できます。
まとめ
このように、紅茶に含まれるカフェインには様々な効用があることがわかりました。
摂り過ぎには注意が必要ですが、適切な量を守って摂取すれば、嬉しい効果を期待できます。
また体質や体調によってカフェインの影響力も変わるため、その時々の自分の体調や状況に合わせて適切な摂取量を判断し、健康的に紅茶を楽しんでください。