紅茶は健康によいのでしょうか? 紅茶の成分には健康にいい作用があります。しかし、紅茶を飲みすぎるとカフェインのとりすぎなど体によくない場合もあります。紅茶の持つ健康効果を引き出しつつも、適量を飲むことが大切です。
この記事では、紅茶の健康効果を詳しく紹介します。また、1日に飲んでよい紅茶の杯数や、健康効果を高める方法も紹介します。
目次
- 紅茶の持つ3つの健康効果とは?
- 紅茶を飲みすぎることで健康にデメリットはある?
- 紅茶の健康効果を高めるためのポイントや相性のいい食材
- まとめ
紅茶の持つ3つの健康効果とは?
紅茶には体にいい成分が含まれていますが、それらがもたらす健康効果は大きく分けて3つあります。それらをひとつずつ紹介します。
ポリフェノールは殺菌・抗菌作用があるといわれている
紅茶にはポリフェノールが含まれていますが、ポリフェノールには殺菌・抗菌作用があるといわれています。
ポリフェノールはさまざまな物質の総称ですが、紅茶ポリフェノールのうち、カテキンと、カテキンがつながってできたテアフラビンは特に殺菌・抗菌作用が強いです。ウイルスを殺す作用も強いことが知られています。
ポリフェノールが細菌やウイルスに直接触れないとこの作用は発揮されません。紅茶をこまめに飲んで、喉や食道についたウイルス・細菌を洗い流したり、紅茶でうがいをして喉や口を洗い流したりすることは、口・喉・食道の粘膜からの感染予防につながると考えられます。
脂質の吸収を抑えやすくなる
ポリフェノールは消化管における脂肪の消化吸収を抑制します。特に、ポリフェノールの一種であり、紅茶の赤色色素であるテアフラビンは、十二指腸での胆汁による脂肪の乳化(脂肪の消化に必要)を抑え、脂肪の消化吸収を抑制します。
テアフラビンは、脂肪を消化する酵素のリパーゼの働きを抑えることでも脂肪の消化吸収を抑制します。つまり、2段階で脂肪の吸収を抑えてくれます。
そのため、脂っこい料理を食べるときは紅茶を合わせるのがおすすめです。紅茶の渋み成分、タンニンは口の中の脂っこさを洗い流す働きがあるので、脂っこい料理を飽きずにおいしく食べられ一石二鳥です。
リラックス効果
紅茶の香りは副交感神経を優位にする働きがあります。副交感神経はリラックスしている時に優位になる神経です。副交感神経を優位にすることで、心身がリラックスし、回復するとされています。
ホトリエノールという紅茶の香気成分も、自律神経の活動を安定させることが知られています。また、紅茶の甘み・うまみ成分であり、アミノ酸のテアニンもリラックスにいい成分と言われています。
ストレスを感じている女性が、就寝時に紅茶の香りをかぐと、ストレスを低下させつつ睡眠の質を高めるという研究もあります。
紅茶を寝る前に飲むとカフェインが気になるところですが、カフェインを抜いた紅茶もあります。寝る前に、香りを楽しみながら紅茶を飲んでみませんか?
紅茶を飲みすぎることで健康にデメリットはある?
どんなに健康にいいものでも、とり過ぎはよくありません。紅茶も同様です。紅茶の飲み過ぎで気になるのはカフェインですが、それ以外にも紅茶の飲み過ぎでとりすぎてしまう成分がいくつかあります。紅茶をどれくらい飲むと飲み過ぎになるか、飲みすぎることでの悪影響はどんなものかを紹介します。悪影響を避ける方法も紹介します。
1日に何杯以上の紅茶を飲むと飲みすぎになる?
後でくわしく解説しますが、カフェイン量から換算すると、紅茶は1日に1.35〜2L以上飲むと飲み過ぎになります。
紅茶はそんなに量を飲むものではないと思いがちですが、マグカップで飲めば1杯で300mlは飲んでしまいますし、暑い日にペットボトルでごくごく飲めば、500mlや1Lはすぐ飲みきってしまいます。
紅茶はあくまで適量で楽しみましょう。水分補給で紅茶を飲む場合も、500mlペットボトルを2本飲んだらそれ以上はノンカフェインの飲み物にしましょう。
紅茶に含まれるカフェインの量とは?
紅茶は、ティーカップ1杯(150ml)あたり約28~44mgのカフェインを含んでいます。
紅茶は農作物であり、産地によっても含んでいる成分量が異なるので、カフェイン量も変動します。そのため、含んでいるカフェイン量にも幅があります。
紅茶にはカフェインの作用を弱めるカテキンやテアニンが含まれているので、コーヒー(概算で紅茶の倍のカフェインを含む)よりカフェインの作用が出にくいとされていますが、それでも紅茶のカフェイン量には気をつけましょう。
紅茶をたくさん楽しみたいけれどカフェイン量が気になる場合は、カフェインを抜いた紅茶を選ぶこともおすすめです。
成人が1日に摂取していいカフェインの目安は400㎎
欧州食品安全機関は、1日に摂取しても悪影響のないカフェイン量の目安を400mgとしています。ここから換算すると、紅茶は1日に1.35~2L以上飲むと飲み過ぎになります。
ティーカップで9~14杯飲むと、カフェインの過剰摂取になる計算です。そんなに飲まないと思いがちですが、マグカップだと4.5杯ほどです。丸一日、紅茶をお供に仕事していたら飲んでしまってもおかしくない量です。
カフェインは、神経を興奮させ、胃酸の分泌を促します。そのため、とりすぎると以下の症状が出ることがあります。
・眠れない
・頭痛
・動悸
・胃の痛み
カフェインは、適量をとるように心がけましょう。
紅茶に含まれるシュウ酸の過剰摂取による尿結石や腎結石
紅茶に含まれるシュウ酸は尿路結石や腎結石の原因となります。シュウ酸はカルシウムと結びつきやすい性質があるので、腎臓の中でカルシウムと結合すると結石になってしまします。
しかし、飲む前に紅茶のシュウ酸をカルシウムと結合させておけば、結石の原因になることは防げます。そのため、結石が気になる場合はミルクティーにするのがおすすめです。
ただし、ミルクティーにすると牛乳のタンパク質によって紅茶ポリフェノールの作用がなくなります。ポリフェノールの健康効果を試したい場合は、ストレートで適量を飲むようにしましょう。
紅茶の健康効果を高めるためのポイントや相性のいい食材
紅茶の健康効果は、紅茶の飲み方によりさらに高めることができます。紅茶の健康効果を高める飲み方のポイントや、紅茶に添えるといい食材を紹介します。
健康効果を高めるためのポイント:お湯の温度に気を付ける
お茶は、50℃以上のお湯でアミノ酸が、80℃以上の温度でカテキンが効果的に抽出できることがわかっています。つまり、50℃以上でリラックスにいいテアニンがよく抽出でき、80℃以上を使えば殺菌・抗菌・脂肪吸収抑制にいい成分がよく抽出できるということです。
紅茶は基本的に、熱湯でいれるのが一番香りと味を引き出せます。おいしくなるように普通にいれれば、テアニンもカテキンもちゃんと抽出できます。
ただ、紅茶は水出しをすることもあります。緑茶での研究で、低温の水出しだとテアニンは抽出されてもカテキンやカフェインは抽出量が落ちることが知られています。
紅茶も、水出しだとポリフェノールの効果が落ちるかもしれないことは頭に入れておきましょう。
健康効果を高めるためのポイント:軟水を使う
軟水は紅茶の風味をしっかり引き出してくれます。これは、紅茶の持つ健康成分もしっかり抽出するということです。しかし、紅茶をいれるのに硬水を使うと、硬水のミネラルと紅茶の成分が結びついて紅茶液がにごり、紅茶の成分も引き出しにくいです。
日本の水は基本的に軟水なので、水道水を使えば問題ありません。また、日本で販売されている紅茶は、日本の水でおいしく出るよう調整されたものが多いです。そういう意味でも、紅茶をいれるときは軟水を使うべきです。
日本の水を使ったミネラルウォーターは軟水のものが多いので、紅茶をいれるのに使っても問題ありません。ただ、紅茶は空気をよく含んだ水を沸かして入れるとおいしいので、ペットボトルのミネラルウォーターを紅茶に使うときは、よく振って空気を含ませてから使うといいでしょう。
紅茶と相性のいい食材:トマト
味わいという意味で、紅茶と相性がいいのがトマトです。フードペアリングの理論では、紅茶とトマトのフレーバーは相性がいい組み合わせとされています。
紅茶とトマトのコンポートなど、一緒に料理するのもいいですが、カプレーゼを食べながら紅茶を飲んだり、ミートソーススパゲッティーを食べながら紅茶を飲んだりもおすすめです。トマト料理に紅茶はよく合いますし、トマトと相性がいいチーズにも合います。
また、トマトのリコピンは抗酸化力が高いので、紅茶に抗酸化力を期待するなら、トマトを組み合わせるとさらに抗酸化力が増します。
まとめ
紅茶は健康によい作用がいろいろある飲み物です。ただし、紅茶の飲み過ぎはカフェインのとりすぎなどで体に悪影響が出るので、適量を飲むよう心がけましょう。
紅茶は、抽出するお湯の温度で成分の含有量が変わり、作用にも違いが出ると考えられます。熱湯出し紅茶と水出し紅茶では、成分と作用が少し異なると考えてください。
紅茶の健康効果を引き出すなら、軟水を使っていれ、いろいろな食材と組み合わせるとよいです。自分の好きな飲み方で、紅茶のうれしい効果を試してみましょう。