紅茶は砂糖を入れるとおいしく飲むことができます。紅茶に入れる砂糖は、どんなものがおすすめなのでしょうか? 砂糖は、種類ごとに甘さの質や風味が異なります。ここでは、主な砂糖の種類を解説し、紅茶におすすめの種類の砂糖を紹介します。また、紅茶に砂糖を入れるメリットや、紅茶に入れるのにおすすめの砂糖以外の甘味料も紹介します。
紅茶に入れるならどんな砂糖がおすすめ?
砂糖にはいろいろな種類があります。紅茶の風味を引き立てる砂糖にははどんなものがあるのでしょうか? アイスティーの場合は、溶けやすい砂糖かどうかも重要です。主な種類の砂糖の特徴を見ていきましょう。
代表的な砂糖の種類とその特徴とは?
砂糖は製法の違いによって種類が分けられます。製法の違いによって砂糖の甘みや風味は変わり、それによってその砂糖に適した使い方も異なります。ここでは、代表的な砂糖の種類と特徴を紹介します。
上白糖
精製糖の一種です。クセがなくコクがある甘みの砂糖です。
成分のほとんどがショ糖ですが、販売されているものは転化糖(ショ糖を分解して作った果糖とブドウ糖の混合物)のシロップを添加しているのでしっとりしています。この添加は、ショ糖の結晶同士をくっつきにくくさせるために行われています。
日本の家庭でごく一般的に使われる砂糖です。料理に向いています。
グラニュー糖
精製糖の一種です。クセがなく淡白な甘みの砂糖です。
99.95%の成分がショ糖で、さらさらしています。角砂糖はグラニュー糖を固めて作ったものです。素材の風味を活かすのに向いた砂糖で、お菓子作りによく使われています。
三温糖
精製糖の一種です。ほのかな香ばしさとコクがあります。
上白糖を作った後の糖液を煮詰めて作られる砂糖なので、糖分が加熱されてできるカラメル色素によって茶色く色づいています。わずかですが、上白糖やグラニュー糖よりミネラルが多いです。
甘辛い料理や和食に、香ばしさ・コクが活かせる砂糖です。
氷砂糖
精製糖の一種です。グラニュー糖を溶かした液を濃縮して結晶化させ、大きい結晶を作ったものです。風味や味わいはグラニュー糖と同様で、淡白でクセのない甘さです。
固まりにくく常温保存できるので、調味料としてだけではなく、お菓子として食べるのにも使えます。また、液体に入れるとゆっくり溶けるので、果実酒を漬けるのに使うと果物の風味を損なわずに引き出せます。
北ドイツのオストフリースラントでは、氷砂糖(キャンディス)をティーカップに入れ、熱い紅茶を注ぎ、氷砂糖が溶けるチリチリという音を楽しんでからクリームを加えて飲む習慣があります。洋酒シロップに漬けた氷砂糖を紅茶に入れるのも、香りがよくおいしいです。
黒砂糖
精製していない含蜜糖の一種です。独特の甘い香りとコクがあります。
サトウキビの搾り汁を沸騰させ、石灰を加えてアクを抜き、さらに煮詰めて固めて作ります。サトウキビのミネラルと石灰によるカルシウムを含むので、精製糖よりミネラルが豊富です。
さつまいもやかぼちゃの煮物、味噌煮など、甘い香りやコクが合う食材を使った料理に向きます。お菓子に使っても風味が楽しめます。
紅茶に使うなら、コクがあり重い味わいのルフナやアッサムが合います。ショウガと組み合わせるのもおすすめです。かち割りの塊をお茶菓子として、そのままかじるのもおいしい砂糖です。
和三盆
日本独自の高級な砂糖で、精製糖と含蜜糖の特徴を併せ持ちます。優しい甘さと柔らかい風味があり、結晶が細かくて口溶けが良いです。
製法は独特です。まず、竹糖という在来品種のサトウキビの汁の灰汁を抜いて煮詰め、白下糖というものを作ります。これを布に包んで重しを乗せ、蜜を抜きます。蜜を抜いた砂糖に水を加えてよく練って、さらに蜜を抜きます。重しを乗せるのと練るのを3~5回繰り返して、残ったものを乾燥させ、ふるいにかけて完成です。
わずかですが、精製糖よりミネラルが多いです。優しい味わいと口溶けの良さから和菓子の材料として好まれます。和食にも向きます。
液糖
ガムシロップなどのことです。基本的に、ガムシロップは砂糖と水を煮溶かして作られます。アラビアガムが含まれることもあります。使われる砂糖の種類は特に決まっていません。
冷たい飲み物にもすぐ溶けるので、アイスティーにおすすめです。炭酸水に甘みをつけるのにも使われます。
グラニュー糖やザラメなどを同量の水で煮溶かして手作りすることもできます。好みの砂糖で作ってみるのも楽しいものです。
紅茶にグラニュー糖が使われる理由とは?
紅茶に使う砂糖として、専門店などではグラニュー糖が選ばれることが多いです。精製度が高く、淡白でクセがないので、紅茶の風味を活かす砂糖であるためです。紅茶に使う砂糖に迷ったら、グラニュー糖を選ぶのがおすすめです。
角砂糖もグラニュー糖でできています。角砂糖は1つの重さが決まっていて、使った量がわかりやすいので、カロリー計算をしているときにおすすめです。
紅茶に砂糖が使われるようになったのはいつから?
紅茶も砂糖も、昔は貴重品でした。そんな紅茶と砂糖の組み合わせが流行ったのには、きっかけがあります。17世紀のイギリスで起きた出来事を見てみましょう。
17世紀のイギリス
砂糖はインドで初めて作られたといわれています。また、紅茶は中国で初めて作られたとされています。その組み合わせが爆発的に流行ったのが、17世紀のイギリスです。
17世紀、ポルトガル王女がイギリス国王のもとに嫁ぎました。その時、薬として使われるほど貴重品だったお茶と砂糖を船に満載して持ってきたのです。
イギリス王妃となったポルトガル王女は、毎日お茶に砂糖をたっぷり入れて飲みました。イギリスの貴族がそのぜいたくさにあこがれて真似をしました。こうして、イギリス貴族の間で紅茶に砂糖を入れて飲むことが流行りました。
さらに、紅茶と砂糖の組み合わせは、当時のイギリス紳士の社交場、コーヒー・ハウス(紅茶も出していた)で真似されました。貴重品をぜいたくに消費することはステータスシンボルだったのです。こうして、紅茶に砂糖を入れて飲むことは貴族以外の階級にも広まりました。
今も、砂糖を入れた紅茶はイギリスで親しまれています。
紅茶に砂糖を入れる効果とは?
紅茶に砂糖をいれて飲むと、おいしいだけでなく、ストレス緩和に役立ちます。砂糖をとると、ストレスにより分泌が高まるホルモン、コルチゾールの分泌を抑制する効果があるといわれています。このため、砂糖を適量とることはストレス緩和にいいとされています。
また、紅茶に砂糖をいれて飲むと、脳にエネルギー源のブドウ糖をすばやく供給することができます。紅茶のカフェインは脳を覚醒させる作用があるため、紅茶単体よりさらに脳を働かせられます。
紅茶はリラックスにいいテアニンも含みますが、テアニンはカフェインと一緒にとると集中力を増す作用があるといわれています。砂糖入りの紅茶は元気を出して集中するのにいい飲み物です。
砂糖のとりすぎは血糖値を上昇させすぎたりカロリー過多になったりしますが、適量であれば役に立ちます。砂糖入り紅茶を適量飲んで、エネルギッシュに仕事に集中しましょう。
紅茶の健康効果がアップ?砂糖以外のおすすめ甘味料2選
紅茶を甘くするのに、砂糖以外のおすすめの甘味料が2つあります。紅茶の健康効果を高め、紅茶と相性のいい風味の甘味料です。その2つの甘味料と、その2つを紅茶に使う上でのメリット・デメリットを紹介します。
はちみつ
はちみつは花の蜜をミツバチが集めて濃縮し、巣に蓄えたものです。果糖とブドウ糖が主成分で、ビタミン・ミネラル・アミノ酸・ポリフェノールも含まれています。
はちみつを紅茶に入れるメリット・デメリット
はちみつは、紅茶に入れると、以下の紅茶のメリットを高めます。
・殺菌・抗菌作用
・抗酸化作用
・脂肪燃焼作用
・疲労回復作用
はちみつのポリフェノールは、殺菌・抗菌作用と抗酸化作用を持ちます。そのため、はちみつを入れると紅茶のポリフェノールによる殺菌・抗菌作用と抗酸化作用をさらに高めます。
また、はちみつはすばやく脳のエネルギー源になるので、脂肪燃焼を促進する成長ホルモンの分泌が活発になります。そのため、紅茶のカフェインの脂肪燃焼効果をさらに高めます。
はちみつの糖分は体のエネルギーにもなるので、カフェインの疲労回復効果をさらに高めます。
はちみつを紅茶に入れるデメリットとしては、
・紅茶の色が黒っぽくなる
・コクのある紅茶でないとはちみつの風味が合いにくい
の2つがあります。紅茶の色が変わるのは、はちみつの鉄分が紅茶の渋み成分タンニンと結びつくせいです。鉄分の少ないアカシアはちみつを使うと変色は防げます。ただ、色が変わるだけで、紅茶の味や香りに影響はありません。色を気にしないなら、特に問題はありません。
はちみつは蜜の供給源の花によってさまざまな風味を持ちます。フルーツの花のはちみつや、ハーブの花のはちみつなど、いろいろなものを試してみましょう。
また、はちみつの甘い香りと深い甘みは、すっきり系の紅茶の風味を邪魔してしまうことがあります。はちみつを入れるなら、コクがあり、渋み・苦味も強めの甘い香りの紅茶が合います。ルフナ・アッサム・ケニアなどがおすすめです。
アガベシロップ
アガベシロップは、メキシコのリュウゼツラン(ブルーアガベ)という多肉植物の樹液で作った薄茶色のシロップです。香りは特にありませんが、優しい甘さで、料理やお菓子作りに向いた味わいです。
果糖が80%、ブドウ糖が15%含まれています。果糖が多いので、砂糖の1.3倍の甘みがあり、血糖値を上げにくい甘味料です。
アガベシロップを紅茶に入れるメリット・デメリット
アガベシロップを紅茶に入れるメリットは以下です。
・血糖値を上げにくい
・砂糖より少ない量で同じ甘味になり低カロリー
・紅茶の抗酸化作用を高める
アガベシロップのGI値は21と、りんごよりも低いです。もちろん、はちみつや砂糖よりも血糖値を上げにくく、血糖値が気になる人の甘味料におすすめです。
また、アガベシロップは甘みが強いので、砂糖より使用量が少なくても同じ程度の甘味がつけられます。具体的な数値を出すと、砂糖の75%のカロリーで同等の甘みがつけられます。
さらに、アガベシロップはポリフェノールのケンペロールやケルセチンを含むので、紅茶のポリフェノールと合わさって抗酸化作用を高めます。液糖の一種なので、アイスティーにも溶けやすいです。
アガベシロップを紅茶に入れるデメリットとしては、果糖が多いので、果糖の分解で働く肝臓に負担がかかる事があげられます。肝機能や脂肪肝が気になるなら、アガベシロップの使いすぎには注意しましょう。
まとめ
砂糖にはいろいろな種類があり、紅茶に入れる砂糖としておすすめなのは、クセがなく淡白なグラニュー糖です。砂糖は種類によって風味や味わいに違いがあるので、使い分けるといいでしょう。
紅茶に砂糖を入れると、おいしいだけでなく、ストレス緩和や集中力増強に役立ちます。
紅茶に入れる砂糖以外の甘味料としては、はちみつとアガベシロップがおすすめです。どの砂糖や甘味料にもカロリーはあるので、カロリー過多にならないように適量を楽しみましょう。