ポリフェノールは、健康に良いイメージがあります。
紅茶に含まれるポリフェノールには、どのような効果があるのでしょうか?
ポリフェノールにはさまざまな種類があり、それぞれの働きが異なります。適量のポリフェノールを適切なタイミングで取ることで、ポリフェノールの効果を引き出せます。
ここでは、紅茶に含まれるポリフェノールの効果や働き、効果的にポリフェノールを摂取するためにどのように紅茶を飲めばいいかのポイントを紹介します。
目次
- ポリフェノールとは
- 紅茶に含まれているポリフェノールの効果をより引き出すためのポイント
- 紅茶に含まれるポリフェノールの効果で注意する点
- まとめ
ポリフェノールとは
ポリフェノールは体に良い成分としてよく取り上げられます。
けれど、実際にどんな効果があるのでしょうか?紅茶のポリフェノールはどのような効果があるのでしょうか?
ここでは、ポリフェノールについてと、紅茶に含まれるポリフェノールの働きを紹介します。
植物の苦みや渋み色素の成分のこと
ポリフェノールは、植物が持つ苦味・渋味、または色素の成分です。ほぼすべての植物が持っていますが、その量には大きく違いがあります。
ポリフェノールにはさまざまな種類があります。カテキン・イソフラボン・アントシアニンなどの有名な成分もポリフェノールの一種です。
ポリフェノールの多い食品として代表的なものは、赤ワインやコーヒー、紅茶・緑茶・ウーロン茶などのお茶です。
紅茶に含まれているポリフェノールの働きとは?
紅茶にはいろいろなポリフェノールが含まれていますが、全体的にまとめた場合、大きな働きは3つあります。どれも体に良い働きです。どのような働きなのか、それぞれ紹介します。
抗酸化作用
紅茶のポリフェノールには、活性酸素(スーパーオキシドや一重項酸素)など、細胞や組織を酸化させてダメージを与える物質を無害な物質に変える作用があります。これが抗酸化作用です。
抗酸化作用がある物質が存在すると、肌のシミを予防したり、老化や病気の予防に役立ったりします。紅茶は抗酸化作用が高いポリフェノールを複数含むので、抗酸化作用が高いとされています。
生活習慣病の予防
紅茶のポリフェノールは、動脈硬化や糖尿病を予防するといわれています。
まずは、血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の量を抑えます。そして、抗酸化作用により、悪玉コレステロールの酸化を防ぎます。悪玉コレステロールは血管内壁に張り付いて酸化すると、動脈硬化を引き起こし、これは血栓や心疾患、脳梗塞などの原因になりますが、それらを予防してくれるといわれています。
また、紅茶のポリフェノールは、糖分の吸収を防いだりインスリンの効きを良くしたりして、血糖値上昇も抑制し、糖尿病の予防につながるといわれています。
脂肪の吸収も抑制するので、肥満予防、肥満による生活習慣病も予防するといわれています。
抗菌・抗ウイルス作用
紅茶のポリフェノールには、雑菌やウイルスの増殖を防ぐ抗菌・抗ウイルス作用があります。
ウイルスは体内に入ると、決められた細胞にくっついて、その細胞の働きを借りて増殖します。しかし、紅茶のポリフェノールがあるとウイルスは細胞にくっつきにくくなり、増殖できないため、病気の予防をしてくれます。
特に紅茶は雑菌やウイルスへの効果が高く、ノロウイルスやインフルエンザウイルスへの効果が知られています。
紅茶に含まれている代表的なポリフェノールの種類
紅茶が含むポリフェノールは、主に4つあります。どれも味わいや紅茶の色合いに影響している成分です。いろいろな作用がありますが、種類によって少しずつ作用が異なるので、ひとつずつその名前と働きを紹介します。
タンニン
タンニンは、紅茶の渋み成分です。紅茶の産地や品種によってタンニンの量は異なりますが、紅茶の茶液に含まれている成分のおよそ1割~2割程度の成分がタンニンになります。
健康に良い作用として、主に、
- 抗がん作用
- 抗酸化作用
- 抗菌作用
を持つタンニンですが、食べ物の鉄分と結びつきやすいので、鉄分の消化吸収を阻害する作用もあります。そのため、貧血などで鉄分不足の人は、食後30分はタンニンの摂取は控えるようにしましょう。
カテキン
カテキンは、紅茶だけでなく、緑茶・ウーロン茶も含むポリフェノールです。非常にさまざまな効果があるといわれています。
現在分かっているものだけでも、
- 抗酸化作用
- 殺菌作用
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 抗がん作用
- コレステロールを下げる作用
- 血糖上昇抑制作用
- 肥満予防作用
などです。
紅茶ポリフェノールの、健康に良い作用の多くを担っています。
テアフラビン
テアフラビンは、紅茶の赤みのもとであり、カテキンが2つくっついてできた成分です。抗菌・抗ウイルス作用がカテキンより強く、肥満予防の作用もカテキンより強いといわれています。
それ以外にも、
- 抗酸化作用
- 抗酸化作用による老化抑制作用
- 動脈硬化予防などによる生活習慣病予防作用
- 抗がん作用
- 血糖値上昇抑制作用
などが確認されています。
テアルビジン
テアルビジンも紅茶の赤みのもととなる成分です。
テアフラビンと作用はほぼ同様で、抗がん作用にも注目が集まっています。
紅茶に含まれているポリフェノールの効果をより引き出すためのポイント
ここでは、紅茶のポリフェノールの効果を十分引き出すためのポイントをいくつかご紹介します。
3~4時間ごとに紅茶を飲む
紅茶ポリフェノールの働きは3~4時間で消えてしまいます。紅茶を飲めば比較的短時間で紅茶ポリフェノールの作用が出ますが、持続しないので、こまめに摂取しましょう。
一息つきたい時、気分転換したい時、少しずつ紅茶を飲むのがおすすめです。一度に紅茶をたくさんいれてアイスティーにして保存しておいて、気がついた時に飲むのもいいでしょう。
軟水を使い、熱湯を勢いよく注いで紅茶をいれる
ミネラルを多く含む硬水より、ミネラルをあまり含まない軟水のほうが、紅茶の成分が出やすいです。日本の水道水はたいてい軟水なので、水道水を使えば問題ありません。紅茶をいれる時は、軟水の熱湯をティーポットに勢いよく注ぎ、茶葉をお湯の中でよく動かしてよく成分を抽出しましょう。
また、紅茶をいれる時は、ティーポットの中で茶葉が対流するようにいれると、より紅茶の成分が出やすくなります。くみたての水道水は空気をたくさん含んでいます。空気をたくさん含んだ水で作った沸かしたての熱湯で紅茶を入れると、茶葉がよく対流するのでおすすめです。
紅茶に含まれるポリフェノールの効果で注意する点
どんな成分も、とり過ぎはよくありません。望まない作用が強く出てしまうことがあります。紅茶のポリフェノールなどの成分も、とりすぎることはよくありません。ここでは、紅茶の飲み過ぎでとりすぎになりがちな成分と、それをとりすぎるとどのように体に良くないかを説明します。
紅茶の飲みすぎ、ポリフェノールの摂りすぎは健康に逆効果?
タンニンやテアフラビンをとりすぎると、体に悪影響が出る可能性があるといわれています。
主なものが、タンニンによる鉄分吸収阻害が引き起こす貧血です。鉄分不足を感じる人は、食べた物の鉄分とタンニンが結びつくのを防ぐため、食後30分はタンニンを含む飲み物を控えましょう。
また、タンニンは、腸の粘膜を刺激したり、水分の吸収を阻害したりする働きもあるので、とりすぎると下痢を起こす可能性があります。テアフラビンも、とりすぎると同様のことが起こる可能性があります。
また、カフェインのとりすぎによる害も大きいです。カフェインはポリフェノールではありませんが、紅茶には無視できない量が含まれます。カフェインのとりすぎは、
- 胃痛(胃酸分泌促進による)
- どうき
- 頭痛
- 不眠
などを引き起こします。
紅茶は、タンニン・テアフラビンのとりすぎより、カフェインのとりすぎになりやすいです。カフェインの適正な摂取量は、成人で1日に400mgまでとされています。紅茶はティーカップ1杯(150ml)あたり28~44mgのカフェインを含むので、ティーカップ8~10杯分(1200~1500ml)までにしておくとよいでしょう。
そんなには飲めないと思うかもしれませんが、暑い日に水分補給としてアイスティーやペットボトルの紅茶を飲んでいたら、1000mlくらいはすぐ飲んでしまいます。どれくらい飲むと紅茶の飲み過ぎになるかは、頭に入れておきましょう。
デカフェ紅茶(カフェインを取り除いた紅茶)を飲むという選択肢もありますが、その場合もタンニン・テアフラビンのとりすぎは考えられるので、やはり、ほどほどにしておきましょう。
まとめ
紅茶は苦味や渋味、色素の成分としてさまざまなポリフェノールを含んでいます。これらには、抗酸化作用・生活習慣病の予防・抗菌作用・抗ウイルス作用などがあります。
タンニン・カテキン・テアフラビン・テアルビジンが主な紅茶のポリフェノールです。
紅茶にミルクや豆乳など、タンパク質を含むものを混ぜるとポリエフェノールの効果がなくなるので、ポリフェノールの効果を引き出したい場合は避けましょう。
紅茶のタンニンやテアフラビン、カフェインの過剰摂取は体によくありませんが、1日ティーカップ8~10杯までなら安心してお飲みいただけます。
おいしく楽しく紅茶を飲んで、健康な生活を送りましょう。