眠気覚ましに紅茶を飲んだり、テレビなどで「紅茶でうがいをするといい」という情報を目にして、紅茶は身体に良さそうだというイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。
紅茶の成分には、私たちの身体にありがたい働きがたくさんあるといわれています。
その反面、カフェインの量やその影響など、気になる点があるのも事実です。
ここでは、紅茶に含まれている成分・栄養素とその働き、そして身体の負担にならないとされる1日の紅茶の摂取量の目安を紹介します。
目次
- 紅茶に含まれる成分や栄養素は何がある?その効果とは?
- 紅茶の成分を健康的に摂取するためには?
- まとめ
紅茶に含まれる成分や栄養素は何がある?その効果とは?
紅茶には、様々な成分や栄養素が含まれています。
特に、紅茶ポリフェノールやカフェインはよく知られていますが、その他にもビタミンやアミノ酸といった成分も含まれています。紅茶ポリフェノールはさらに、タンニン、テアフラビンなどの成分に分類され、それぞれが違った特徴と働きを持っています。
それぞれの成分の特徴や働きとその効果、そして紅茶1杯に含まれる量や1日の推奨摂取量を紹介します。
紅茶ポリフェノール
「ポリフェノール」という成分は、赤ワインやチョコレートにも含まれており、抗酸化作用がある成分としても耳にしたことがあるかと思います。
世の中には数千種類ものポリフェノールが存在し、その中で紅茶に含まれるものを「紅茶ポリフェノール」と呼び、紅茶の主要な成分になっています。
紅茶ポリフェノールを構成する成分は数種類あり、もともと茶葉に含まれているものや、紅茶の製造過程で生成されるものなど様々で、それぞれに特徴があり、違う働きを持っています。
タンニン
紅茶ポリフェノールの成分の中の一つで、紅茶の渋みを出す成分でもあります。
タンニンを構成する成分の一部が、エピカテキン、エピガロカテキンなどのカテキン類です。
血糖値やコレステロール値、血圧を下げる作用があるといわれており、生活習慣病の予防につながるものとして考えられています。また抗酸化作用も強く、免疫力を高めるともいわれています。
紅茶1杯あたり、約0.1gのタンニンが含まれていますが、1日の摂取量の上限や推奨摂取量などは特に設けられていません。
テアフラビン、テアルビジン
紅茶ポリフェノールを構成する成分で、紅茶の製造中、茶葉が酸化発酵する過程で、茶葉に含まれるタンニンが酸化して生成されたものです。
テアフラビンは橙赤色、テアルビジンは赤色の色素を持っており、紅茶の色を決める成分でもあります。
またテアルビジンは、インフルエンザウィルスを抑制する効果があるともいわれています。
ミルクを加えるとこの効果は失われるため、インフルエンザ対策が目的で飲む場合は、ストレートかレモンティーがおすすめです。
アントシアニン
紅茶ポリフェノールの中で、抗酸化力のあるフラボノイドに分類される成分の一つで、フラボノイドの代表格でもあります。
紅茶色素の成分でもあり、テアフラビンやテアルビジンと共に、紅茶の色を決定づけます。
紅茶の製造中、茶葉が酸化発酵する過程で生成されます。
抗酸化物質が、血圧やコレステロール値を下げたり、肥満を防いで心疾患を予防したり、口内の虫歯菌の繁殖を抑制して虫歯予防につながるといわれています。
ビタミン
紅茶にはビタミンも含まれ、中でもビタミンKとビタミンB群(特に葉酸やナイアシン)の含有量が目立っています。
ただし、これはあくまでも紅茶の栄養素の中では、含まれる割合が多いという話です。
ポリフェノールのように、豊富に含まれているわけではないため、ビタミン摂取の目的で紅茶を飲むことはおすすめできません。
これらの栄養素を効率よく摂取するには、食品から摂取することをおすすめします。
ビタミンK
血液の凝固や、たんぱく質の活性化などの働きをする栄養素がビタミンKです。
骨がカルシウムを吸収するのをサポートする栄養素でもあるため、骨粗しょう症の治療薬としても知られています。
紅茶には、1杯あたり6μg含むとされています。
しかし、推奨される1日のビタミンKの摂取量は150μgとされているため、ビタミンKの摂取を目的で紅茶を飲むのは現実的ではありません。
食品から必要分のビタミンKを摂取することをおすすめします。
ビタミンB群
ビタミンB群には、主にエネルギーの代謝をサポートする働きがあり、8種類の成分があります。
その中の、葉酸とナイアシンが紅茶に含まれています。
葉酸は、胎児の発育に重要な栄養素のため、妊娠中の方が積極的に摂取するように言われるものです。
またナイアシンは、酵素の働きを助けるともいわれています。
どちらも、紅茶から十分な量を摂取することは難しいので、葉酸は鶏レバー、ナイアシンはたらこなど、これらの栄養素を多く含む食品から摂取しましょう。
カリウム
老廃物の排出をサポートしたり、便秘を緩和するといわれ、その高いデトックス効果が注目される栄養素です。
また、血圧を下げる効果もあるといわれています。
1杯の紅茶には、約8mgのカリウムが含まれています。
1日の推奨摂取量が2,000~2,500mgとされており、これも食品から摂取するのが現実的といえそうです。
逆に、カリウムの摂取量を制限したい方も、紅茶1杯あたりのカリウムの量を参考にしてください。
リン
リンはミネラル分の一種で、エネルギーの代謝に必須の栄養素とされています。
1日の推奨摂取量は800〜1,000mgですが、多くの食品に含まれているため、通常の食事で十分な量を摂取できていると考えられます。
反対に、加工食品に多く使われていることもあり、現在では摂取不足よりも、むしろ摂取過多の方が問題視されています。
そこで気になるのが、紅茶に含まれる量です。
紅茶には、1杯分で約2mgのリンが含まれています。
摂取量を制限したい方は、参考にしてください。
(引用元「日本人の食事摂取基準 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf 296ページ)
カフェイン
紅茶に含まれる有名な成分です。
眠気を覚ます作用と、気分を高める作用の相乗効果で覚醒作用が高まるほか、鎮痛作用や利尿作用もあるとされています。
摂りすぎに注意が必要な成分でもあり、摂りすぎると不眠につながったり、胃への刺激が強くなったりします。
また、カフェインの代謝が未熟な胎児や1歳未満の子どもが摂取するのを防ぐために、妊娠中や授乳中の方も、摂取量に注意が必要です。
1杯の紅茶には、約28~44mg含まれます。
悪影響が出ない1日のカフェイン摂取量は、成人で400mgとされています。
アミノ酸
紅茶には、アミノ酸の一種であるテアニンが含まれています。
テアニンは、旨みや甘みを出す成分でもあります。
テアニンはリラックス効果のほか、血圧の上昇の抑制、脳や神経機能の調整、睡眠の質を上げるといった効果もあるといわれています。
また、テアニンがカフェインの働きを抑えるため、紅茶に含まれるカフェインは、実際のカフェイン量から見込まれるほどの影響を、身体に与えないともいわれています。
紅茶の成分を健康的に摂取するためには?
紅茶には様々な成分や栄養素が含まれ、身体にうれしい働きもしています。
その作用は、摂取方法を工夫することで、より一層効果的に身体に働きかけることもできます。
一方で、体質や健康状態、飲む時間帯などで、特定の成分の摂りすぎによる影響が気になることもあるでしょう。
これらの成分の働きを、有効に活用できる紅茶の飲み方や身体の負担にならない量、飲む時間帯などを紹介しています。
1日に3~4杯の紅茶を目安にする
紅茶は身体に良い成分が多く含まれていますが、飲みすぎには注意が必要です。
特にカフェインは、摂りすぎると不眠や消化器官への負担にもつながります。
人によってカフェインの影響力の大きさは違いますが、1日に紅茶3~4杯分がカフェイン摂取量の上限だといわれています。
ただし、注意しなければならないのは、これは紅茶からしかカフェインを摂取しない場合にのみ適用される目安です。
チョコレートや緑茶など、他の食品からもカフェインを摂る場合は、その分を考慮する必要があります。
3~4時間の間隔をあけて飲む
紅茶の成分、特に紅茶ポリフェノールには、健康にも美容にもありがたい効果がたくさんあるとされています。
同じ紅茶を飲むなら、その効果が最大限に発揮されるように飲みたいもの。
紅茶ポリフェノールには、水に溶けやすいという性質があります。
そのため、摂取して短時間で体内で作用しますが、効果が続くのは3~4時間です。
継続して紅茶ポリフェノールの効果を発揮させたい場合は、3~4時間ごとにこまめに紅茶を飲むのが効果的です。
就寝時間の3時間前を目安に摂取を控える
年齢や体質などで差はありますが、カフェインの作用が半減するのには、2~4.5時間かかるといわれています。
就寝時にカフェインの影響を受けないためには、就寝時間の3時間前を目安に紅茶の摂取を控える方が良いでしょう。
カフェインの摂取量は気になるけれど紅茶は飲みたい、という方にはカフェインレスの紅茶がおすすめです。
これは、茶葉からカフェインを取り除いた紅茶です。
夜だけでなく、妊娠中、授乳中の方や小さい子供も安心して飲むことができます。
まとめ
このように、紅茶には身体にうれしい効果がたくさんあるとされています。
さらに、3~4時間の間隔をあけて飲めば、継続的にその作用が働き、効果が高まることが期待されます。
反対に飲みすぎると、生活のリズムの乱れや身体の不調につながるリスクもあります。
紅茶の成分の働きのメリットとデメリットを知り、自分の体質や体調などを考慮して、適切な量を適切な時間に摂取し、健康的に紅茶と付き合っていきましょう。