茶葉を買いに行っても、ティールームのメニューを見ても、必ず目にする紅茶といえば、アールグレイとダージリンではないでしょうか。どちらも有名で人気のある紅茶ですが、2つは別の種類の紅茶で、特徴が全く異なります。
ここでは、アールグレイとダージリンの産地や味わいの違いを説明し、それぞれおすすめの飲み方を紹介しています。
アールグレイとダージリンの特徴の違いを知れば、茶葉を選ぶ時の楽しみも増えるでしょう。
目次
- アールグレイとは?どんな特徴の紅茶?
- ダージリンとは?どんな特徴の紅茶?
- アールグレイとダージリンはどちらが人気?その理由の違いとは
- アールグレイとダージリンどちらも同時に楽しむには?
- まとめ
アールグレイとは?どんな特徴の紅茶?
アールグレイとは、ベルガモットという柑橘系果実の香りをつけた紅茶のことを指します。
「アール」とは「伯爵」の意味、かつての英国首相チャールズ・グレイ伯爵がこの紅茶の誕生に関わったといわれています。
アップルティーやピーチティーと同じく、フレーバーティーに分類されます。アイスティーにも、よく使われる紅茶です。
香りをつける紅茶に特に決まりはないですが、香りが際立ちやすいセイロンティーやダージリン、キームンが使われることが多いです。
ベースの紅茶の風味もそれぞれ異なるため、一言で「アールグレイ」と言っても、その味わいは多種多様です。
アールグレイの味わいの特徴
アールグレイは、柑橘系の香りが爽やかで、すっきりとした味わいが特徴です。
また、同じベルガモットの香りがついていても、ベースに使われる茶葉によって風味の印象が大きく変わるのも、アールグレイの面白いところです。
例えば、癖のないセイロンティーがベースの場合、ベルガモットの風味がそのまま感じられ、すっきりと味わえます。
渋みのあるダージリンがベースのものは、キリッとした味わいが特徴的です。
また、キームンがベースになると、まろやかさを感じられる味わいになります。
アールグレイの香りの特徴
アールグレイは、ベルガモットの爽やかな香りが華やかに広がるのが特徴です。
柑橘系の爽やかな香りは涼しげな印象も与え、特に夏に人気があります。
香りのつけ方には、茶葉に香料を付着させたり、茶葉に香りを吸収させたりと、いくつかの方法があります。
それによって、香りがストレートに届いたり柔らかく広がったりと、香りの感じ方にも違いが出てきます。
ベースの茶葉によっても香り方が変わるので、アールグレイの香りも千差万別です。
ベルガモットとは
アールグレイの香りに使われるベルガモットはミカン科の柑橘類で、主にイタリアやコートジボワールで生産されています。
柑橘系の爽やかさと少し苦みを持ち合わせた香りが特徴で、精油を採取して香料やアロマテラピーに使われることも多いです。
中国の龍眼(ロンガン)という、ライチに似た果実を使った紅茶の再現をイギリスで試みた際、ヨーロッパでは手に入らない龍眼の代わりにベルガモットが使われたのをきっかけに、紅茶の香りづけにも使われています。
アールグレイのおすすめの飲み方は?
アールグレイは、使われる茶葉によって味わいの特徴が変わるため、おすすめの飲み方もさまざまです。
ベルガモットの香りは熱い温度でより強く出るため、香りをメインに楽しみたい場合は、ホットのストレートティーがおすすめです。また、アイスティーにもよく使われています。
すっきりとした爽やかな香りは、暑い時期に清涼感を演出してくれます。
ミルクを加えると柔らかい香りになり、まろやかな口当たりのミルクティーを味わえます。
ダージリンとは?どんな特徴の紅茶?
ダージリンは、インドのダージリン地方で生産された紅茶です。
アールグレイのように、香料で香りはつけられておらず、茶葉そのものの香りを味わう紅茶です。
フルーティーで爽快感のある独特の香りが特徴的で「紅茶のシャンパン」とも呼ばれています。
その評価の高さは、スリランカのウバ、中国のキームンとともに、世界三大紅茶の一つに称されていることからも伺えます。
毎年シーズンになると、各茶園で生産された茶葉が茶園別に販売され、それぞれの風味の違いを味わえるのも、ダージリンならではの楽しみです。
ダージリンの産地は?
ダージリン地方は、インドの北東部のヒマラヤ山脈の麓、標高が2,000mを超えるところに位置しています。
ダージリン地方には約80の茶園があり、山の斜面に茶畑が点在しています。
標高が高いため比較的涼しい気候の地域ですが、日中は直射日光が当たって気温も上がるため、夜の冷え込み時との気温差が大きくなります。このような大きな寒暖差や、それにより発生する霧は、香り高い紅茶ができる条件となっており、それはダージリンも例外ではありません。
収穫時期によって呼び方や味が変わる?
ダージリンでは1年間に、春・夏・秋と3回に渡って茶葉の収穫が行われます。
紅茶は、茶葉の収穫が1日でも違えば、味や香りが変わる飲みものですので、収穫の季節が違えば、その分風味の特徴も相当違ってきます。
日本茶のように、春に収穫されたものの品質が一番良い、などということはなく、どの季節に収穫されたものでも、それぞれに特筆すべき特徴を持っています。
ここでは、それぞれの収穫時期の茶葉の風味と、それを味わえるおすすめの飲み方を紹介します。
ファーストフラッシュとは
3~4月に収穫される茶葉で「春摘み」「一番茶」とも呼ばれます。
新芽は若々しくて柔らかく緑色をしており、紅茶の色も薄くて明るい黄金色をしています。
風味は、新鮮な爽やさと心地よい渋みを感じられます。
緑がかった茶葉や薄い紅茶の色、渋みのある味わいは、緑茶を思わせるほどです。
収穫される量が少なく、希少価値の高い紅茶で、毎年多くのファンがファーストフラッシュの発売を心待ちにしています。
セカンドフラッシュとは
6~7月にかけて収穫される茶葉で「夏摘み」「二番茶」とも呼ばれます。
ファーストフラッシュよりも味わいに深みが増し、香りや紅茶の色にも力強さを感じられ、1年のうちで最も品質が高いといわれることが多いです。
「マスカテルフレーバー」と呼ばれる、マスカットを口に含んだような香りは気品があり、ダージリンが「紅茶のシャンパン」と呼ばれる所以でもあります。
味・コク・香りのバランスが良く、いわゆる「ダージリン」と聞いて、一番にイメージされる風味です。
オータムナルとは
10~11月に収穫される茶葉で「秋摘み」とも呼ばれています。
収穫量は少なく、ファーストフラッシュやセカンドフラッシュほどの知名度もありませんが、ダージリン独特の清々しい香りが苦手な方にはおすすめです。
オータムナルの紅茶の色は濃いオレンジ色で、甘みとコクのある芳醇な味わいがあり、ファーストフラッシュやセカンドフラッシュとは全く違った印象を与えてくれます。
紅茶そのものの味が強く出るので、ミルクを加えても美味しく飲めます。
ダージリンのおすすめの飲み方は?
ダージリンの中でも、特にファーストフラッシュとセカンドフラッシュは、フルーティーで爽やかな香りと程よい渋みが大きな特徴です。そのため、その風味を一番感じられるストレートティーがおすすめです。
アイスティーでも、爽やかな香りを味わえます。
水出しのアイスティーにすると、渋みも目立たず飲みやすいでしょう。
逆にオータムナルは、強いコクと渋みがあるため、ミルクを加えるのもおすすめです。
ミルクティーにしても、紅茶の味をしっかりと感じられます。
アールグレイとダージリンはどちらが人気?その理由の違いとは
このように、アールグレイとダージリンは全く違う特徴を持っています。
アールグレイは、華やかな香りやすっきりした味わいを楽しみたい方に人気が高く、一方のダージリンは、紅茶そのものの爽やかな香りや清々しい風味を味わいたい方に人気があります。
どちらも有名で、それぞれに気品のある味わいがあり、紅茶の店舗では洗練された缶入りのものも販売されているため、ギフトとして選ばれることも多いです。
柑橘系のすっきりした香りが好きな方にはアールグレイがおすすめ
茶葉そのものの味や香りに加えて、柑橘系のすっきりとした風味を味わいたい方には、アールグレイがおすすめです。
ベルガモットの爽やかな香りがつけられたフレーバーティーなので、その分すっきりした香りを強く感じられます。
さらにしっかりと香りを味わいたければ、ホットティーで飲むことをおすすめします。
アールグレイは各ブランドが作っているので、ベースに使われる茶葉の違いを感じながら、いろいろな種類のアールグレイを飲み比べるという楽しみ方もできます。
マスカットのようなさわやかな香りが好きな方にはダージリンがおすすめ
マスカットのような爽やかな香りを味わいたい方には、ダージリンをおすすめします。
「マスカテルフレーバー」と呼ばれるマスカットのような香りが、口の中で爽やかに広がります。
ストレートで飲み、ダージリンの爽やかな香りをそのまま味わうのがおすすめです。
また、収穫時期による風味の違いや、茶園ごとで微妙に違う風味をじっくりと味わい、それぞれの特徴を感じることができるのは、ダージリンならではです。
アールグレイとダージリンどちらも同時に楽しむには?
アールグレイとダージリンの特徴を見てきて、どちらも魅力的で1つを選べないという方もおられるかと思います。
そんな方には、2つの紅茶を同時に楽しめる方法を紹介します。
ここで紹介するのは、アールグレイとダージリンの2つの紅茶での方法ですが、他の香りや産地の紅茶を使って応用することも可能です。
違う種類の茶葉を同時に楽しむ方法を知れば、紅茶が作り出す味わいの可能性が桁違いに増え、紅茶の楽しみ方も無限大に広がります。
アールグレイに使われる紅茶の種類に決まりはない
アールグレイの特徴でも書いたように、ベルガモットの香りを着けた紅茶は全て「アールグレイ」と呼ばれます。
もちろん、ダージリンにベルガモットの香りをつけた紅茶も「アールグレイ」です。
この場合、ベースの紅茶がダージリンなので、アールグレイの香りとダージリンの風味を同時に味わえます。
紅茶専門店で販売もされていますが、手元にアールグレイとダージリンの茶葉があれば、自分で作ることも可能です。
自分でダージリンとアールグレイをブレンドしてみる
紅茶のブレンドとは「異なる時期・異なる産地で収穫、生産された茶葉を混ぜること」を意味しています。
販売されている紅茶の茶葉のほとんどが、ブレンドされた茶葉にあたります。
ダージリンとアールグレイの茶葉を自分でブレンドすれば、2つの味を同時に味わえる茶葉が出来上がります。
同じ分量でのブレンドを基本にし、その後は茶葉の分量のバランスや、ダージリンの収穫時期を変えるなどして、自分好みの風味の茶葉を作り出せば、ワンランク上の紅茶の楽しみ方ができるはずです。
まとめ
このようにアールグレイとダージリンでは、フレーバーをつけているか否かから、産地や香り・味わいの特徴、おすすめの飲み方まで、違いがたくさんあります。
また、一言でアールグレイやダージリンと言っても、使われる茶葉や収穫の時期によって大きく特徴が異なります。
違いを知り、それぞれの特徴がわかれば、自分の知識を元に紅茶を選べる喜びも味わえます。
また、飲み方に合わせて紅茶を選んだり、ブレンドして好みの茶葉を作ることができれば、紅茶の楽しみ方の幅がぐっと広がります。ぜひ、ご自身の好みに合ったブレンドで紅茶を楽しんでください。