紅茶の茶葉にはさまざまな種類があります。
紅茶ができるまでの工程や製法にはどのような手順や作業が行われているのでしょうか?
今回は、紅茶の主な製法と工程の手順について、そしてそれぞれの違いについて紹介します。
主な紅茶の製法は大きく分けてオーソドックス製法とアンオーソドックス製法があります。
オーソドックス製法は伝統的な製法を機械で忠実に再現した製法なのに対し、アンオーソドックス製法はCTC製法を用いた製法です。
この記事では2つの製法と工程について、そして違いによる風味などの変化はどのようなものがあるのかについて紹介します。
目次
- 主な紅茶の製造方法とは?
- 紅茶のオーソドックス製法の工程とは?
- 紅茶のCTC製法(アンオーソドックス製法)の工程とは?
- 紅茶は製法によって風味が異なる?
- まとめ
主な紅茶の製造方法とは?
紅茶の製造方法は200年前に中国で人の手による茶摘み、手作業での製造が行われていましたが、そこから作業の効率化や生産量の増加のため年々改良されています。
製造方法には大きく分けてオーソドックス製法、アンオーソドックス製法の2つがあります。
さらにアンオーソドックス製法には、特殊設計で作られたCTC機とロータ機の機械を使用した製法が2つあります。
人の手と機械を工程の中で分担しながら製造されるオーソドックス製法には、茶葉の形を残して作られるリーフタイプと茶葉の形をカットして作られるブロークンタイプの2種類が存在します。
また現在ではこの2つの製法の良さをそれぞれ使用して製造される、セミオーソドックス製法も開発されています。
それぞれの製法の詳しい説明と工程について紹介していきます。
紅茶のオーソドックス製法の工程とは?
スリランカ、インドのダージリン地方やアッサムの一部地域などの限られた地域で行われているオーソドックス製法の工程には、以下の工程があります。
摘採(てきさい)と呼ばれる人の手で行われる茶摘みから始まり、萎凋(いちょう)、揉捻(じゅうねん)、発酵、ふるい分け、乾燥までが工程です。
摘採は基本的に、一芯二葉(いっしんによう)と呼ばれる1つの芯とその下の2枚の葉を摘みます。
この作業においては、生産地の環境だけでなく生産量か品質を重視するかによって、それぞれのやり方やこだわりがあります。
茶葉を摘んだ後は工場へと運ばれていき、次の工程の萎凋へと進んでいきます。
生葉の水分を取り除く重要な工程「萎凋(いちょう)」
生葉の水分量は多く、次の工程を行いやすくするために、水分の約半分を取り除く作業を行います。
この作業は従来15〜20時間といった長時間かけて日陰干しで行われていましたが、現在では温風を送る人口萎凋により時間が8〜10時間にまで短縮して行えるようになっています。
萎凋槽に入れて下から風を送りながら行うことがほとんどです。
ある程度したら上下を入れ替えたりして行うことで均一に水分量を減らせます。
この工程は作業を進めやすくするためでもありますが、茶葉の香りにフルーティーな香りが加えられていき、品質を決める重要な工程でもあります。
茶園では実際に生葉を触って水分量を感じ取ったり香りを嗅いで成分の生成を確かめたりと、機械だけではなく人の手でも細かな作業が行われます。
紅茶の重要な要素を作り出す「揉捻」
揉捻では萎凋(いちょう)の過程でしおらせた茶葉を揉み込んで揉捻機にかけます。
茶葉の形は残しつつ細胞組織を壊し、葉の中の成分を外の空気と触れさせることで、酸化発酵を促進させて形を整える作業です。
葉の細胞の中にはカテキン類が含まれており、酸化発酵によってオレンジ色の成分のテアフラビン、赤銅色の成分のテアルビジンが出来上がります。
酵素はタンパク質の一種なため、加熱されると活性がなくなってしまいます。
そのため加熱前に揉捻を行い、カテキン類と酸化酵素を合わせることで茶色いお茶がつくられていきます。
オーソドックス製法ではここで葉の形を残して製造しますが、ここで使用する機械によって茶葉の形が大きく変わってきます。
紅茶の味わいを決める「発酵」
この工程は紅茶の旨味や香りを仕上げる重要な工程です。
大量生産を行なっている工場ではベルトコンベアに乗せて発酵させます。
アッサムやスリランカなどでは床にタイルを貼って衛生面を維持しながら、熱を逃す作業方法が見られることもあります。
ダージリンでは発酵棚において茶葉に送風をおくりながら発酵させます。
日本では濡れた布をかけて湿度を保つ方法もあります。
発酵は室温で25℃〜30℃、湿度90%の発酵室で行われます。
発酵室で数時間置いて、葉の色が赤銅色になるまで発酵を行います。
紅茶の場合は完全発酵は行わず、どこで発酵を止めるかと常に考えられています。
紅茶の風味や味わいを完成させる「乾燥」
発酵が止められた茶葉には水分が多い状態なので、熱風をかけて水分量が3%になるまでしっかりと乾燥させます。
乾燥をしっかりと行うことで、茶葉が加熱され酸化発酵が止まりこれまでの工程で計算されてきた茶葉の良い状態のタイミングを壊すことなく、香りや風味がいい紅茶が出来上がります。
こうして完成された茶葉はサイズ別に分けられていき、味や香りを確認するためテイスティングが行われていきます。
それからグレードがつけられ、時にはブレンドされパッケージされます。
紅茶の工程は主な手順としては他の2種類も同じように行われます。
工程の中に取り入れている機械や作業内容によって少し異なることがあります。
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紅茶のCTC製法(アンオーソドックス製法)の工程とは?
生産量が多いことが最大の特徴でもあるCTC製法は、特殊な機械を使用して紅茶の葉を引き裂いて押しつぶします。
そうして細かくなった茶葉を丸くして小さな粒状にします。
そのサイズは数ミリのものから大きいサイズの粒などさまざまです。
サイズは細かいサイズのものの方が渋みが強く、濃い味わいがあるといわれています。
主な工程の流れは変わりませんが、CTC製法は意図的に発酵を強くしているため、産地による茶葉の違いが消えてしまいやすくなります。
ラインにそって流れるように行える作業
CTC製法は発酵しやすい形にするため葉を加工するため、萎凋の時間は短縮されることがあります。
揉捻では葉を揉み細胞組織を破壊し酸化発酵を促進させます。
葉が傷つき外部と触れ酸化することで、葉の中の成分が紅茶の味わいやコクの元になるポリフェノールへと変化していきます。
そして玉解きでは揉捻の作業によって固まってしまった状態の葉を均一にほぐして空気に触れさせさらに酸化発酵を促進させます。
自動玉解機で行うことで均一になるため、品質の劣化を予防することにもつながります。
そうして玉解きの工程が終わるとCTC機と呼ばれる特殊機械を使って葉の形を加工していきます。
CTC製法とは?
アンオーソドックス製法と呼ばれるCTC製法はティーバックの原料として多く使用されており、ティーバックの需要増加に伴い普及率が高く、現在の紅茶の生産量の半分を占めています。
CTC製法では機械を主に使用して、ゆっくりと進むベルトコンベアのラインに沿って作業が進んでいきます。
この製法を行うことで長時間の作業になってしまうオーソドックスに対し、短時間での作業を行えるようになります。
CTC機はステンレス製のローラーが2本ついており、2本のローラーを回転させローラーにつけられている突起や刃型で、茶葉の組織細胞を壊して細かく切断します。
機械によっては工程が繋がって行えるようになっているものもあります。
CTCとはどんな意味?
CTCはCrush(押しつぶす)、Tear(ひきさく)、Curl(丸めて粒にする)の略です。
この製法は葉を押しつぶして引き裂いた状態から、細かくなった葉を小さく丸めてつくるので茶葉の抽出時間が短時間でできます。
茶葉を仕上げていく「発酵〜乾燥」
CTC機によって細かくカットされた茶葉は湿度90%以上の発酵室へと移動されていき、時間をかけて発酵を行います。
オーソドックスと比べると茶葉のサイズが小さいため発酵の時間は短くなります。
発酵が終わると葉を乾燥させるため100℃前後の熱風をおくって、発酵を止め紅茶の形を作ります。
乾燥は水分が3%になるまで行うことも重要です。
近年では、インドで開発されたローターバンといわれる大型の揉捻機を使用した製法もあります。
ローターバン製法では揉捻を機械を使用して行うため、作業時間が半分に短縮することができます。
現在では2種類の製法の良さを活かしたセミオーソドックス製法という製法も存在します。
オーソドックス製法の製造で時間がかかってしまう揉捻工程をローターバン機で行うことで、作業のスピードを上げていきます。
ローターバン機はオーソドックス製法の補助的な役割を果たしているためインド・スリランカをはじめとし、現在では大半がこの製法を使って製造しています。
紅茶は製法によって風味が異なる?
これまで製造の工程について詳しく書いてきましたが、それぞれの製造方法による違いはどのようなものがあるのでしょうか?
先ほどの工程の中からわかる違いとしては茶葉のサイズの違いがあります。
オーソドックス製法は葉の形を残しながら作るため、産地の茶葉によってそれぞれ違う香りや味わいが楽しめます。
それに対しCTC製法では細かく丸く形成されているため、産地の茶葉の違いは感じにくいです。
また製造時間にも大きな違いがあり、人の手で時間をかけて製造されるオーソドックス製法では約13時間かけて作業を進めます。
しかしCTC製法では時間の効率化を機械によって可能にしているので、作業を一つの流れで行えます。
CTC製法で作られた茶葉はしっかりとした味わいと渋みが出やすい
CTC製法で作られた茶葉は渋みが強く感じられます。
さらに発酵をしっかりと行なっているため、香りと味わいがしっかりと感じられる紅茶になっています。
渋みが強いためミルクを入れても渋みが消えずに残るため紅茶の風味が消えずに楽しむことができます。
濃く渋い茶葉はミルクティーに最適な茶葉です。
ミルクティーとして飲む時に茶葉を少し増やして入れるとミルクとの相性がさらに良くなります。
ストレートティーで飲むこともできますが、渋みが強いため濃い味わいになってしまったりもします。
そのためストレートティーで飲む場合は、抽出時間を短めにして濃くなりすぎないように調整することが必要になります。
まとめ
紅茶の製造方法にはそれぞれの個性を生かすような工夫がされています。
どちらが良いということはないですが、それぞれの良さを知ることで最適な方法で紅茶を楽しむことができます。
ミルクを入れて楽しみたい時は粒状のものを、ストレートで香りを楽しみながら飲みたい時はリーフタイプのものを選ぶとさらに美味しく紅茶を飲むことができます。
また製造方法は常に生産性の高さや品質の向上を目指して、少しずつ現在でも改良され続けていることがこれからさらに美味しく茶葉を楽しむことができるのではないでしょうか?
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